現在位置: ホーム イノベーション創出人材の育成活動 イノベーション創出人材 イノベーション創出人材の声 平成28年度 インターンシップ 参加者の声: 佐藤夏彦さん

平成28年度 インターンシップ 参加者の声: 佐藤夏彦さん

インターンシップの概要


所属・氏名

東京大学 大学院理学系研究科物理学専攻 博士課程2年 佐藤夏彦さん

期間

2016年7月26日~9月14日

滞在先

武蔵小杉

受け入れ機関・担当者

日本電気株式会社システムプラットフォーム研究所


応募の理由とインターンシップの目的


博士課程を終えた後、学校で培ってきた能力をどのように社会で活かすことができるのか、企業の中で実際の業務に近いことを行いながら知りたく思い、インターンシップに関する支援の手厚いイノベーション創出人材育成プログラムに応募しました。

実際のインターンシップ先や課題を決めるにあたっては、提携機関である日本電気株式会社での研究インターンシップの課題に、興味がありかつ研究でも使用している機械学習に関する知識を活かせそうなものがあったため、PCoMSの方に相談させていただき、面接やインターンシップ申し込みなどについて調整していただきました。また、インターンシップの実施前にビジネスマナーやコミュニケーションに関する” 博士人材スキルアップ研修”を受講させていただいたり、インターンシップ実施中の滞在先を用意していただくなど、インターンシップに関することについて幅広く支援していただき、安心してインターンシップに取り組むことができました。

インターンシップの内容と経過


本インターンシップの研究課題は、日本電気株式会社システムプラットフォーム研究所で研究されている可用帯域推定技術に機械学習手法を適用し、その評価を行うことでした。多くの可用帯域推定技術では、送信端末から複数の小さな計測パケットを受信端末に送り、受信側での受信間隔を測定し、その変化から可用帯域を推定します。このとき、受信間隔の変化点が可用帯域の推定に重要となるのですが、モバイル網においては、可用帯域とは別の要因による受信間隔の変化も起こり、可用帯域の推定が難しくなります。これまでの研究では、そのような外乱がない場合の受信間隔の変化を様々な可用帯域について計算して、測定で得られた変化と比べ、最も当てはまるときの可用帯域を推定値として用いると、良い推定値となることが分かっていました。本インターンシップにおいては、私自身が研究にも使用している機械学習手法をこの推定技術に適用しました。

学習に必要なデータの整理や単純な応用などを行ったのち、データの偏りなどに対する対処を行ってより良い推定が行えるようになりました。

インターンシップを通じて得られた成果


可用帯域推定技術に対する機械学習手法の応用について、複数の機械学習手法を適用し、その評価を行いました。その結果、一部の機械学習手法で従来手法に比べて推定精度の向上が見られました。この成果は可用帯域推定における機械学習的なアプローチの可能性を示すことができたと考えています。

また、私個人としても、企業で行われている研究の一部に実際に身を投じてみることで、応募目的でもあった”学校で培ってきた能力をどのように社会で活かすことができるのか”という問いについての答えにより近づけたと思います。また、研究に使うデータの選び方、前処理や扱い方、データの偏りによる推定の変化とそれに対する対処など、データ分析にかかわる全体的なことについて実感を持って学び、これからの研究に直接役に立つような実践経験を得られました。