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平成28年度 インターンシップ 参加者の声: 越智裕紀さん

インターンシップの概要


所属・氏名

東京大学 大学院理学系研究科 物理学専攻 博士課程1年 越智裕紀さん

期間

2016/8/16~2016/9/30

滞在先

神奈川県川崎市

受け入れ機関・担当者

NEC中央研究所グリーンプラットフォーム研究所 荒木拓也様


応募の理由とインターンシップの目的


私はこれまで古典スピン系で臨界現象についての数値計算を行ってきました。臨界現象は熱力学極限においてみられる現象であり、その計算を行うためには大規模な数値計算が必要になります。とくに私が用いている数値的転送行列法は大きな行列の行列ベクトル積が主要な計算となっています。

インターンシップの受け入れ先であるNEC中央研究所グリーンプラットフォーム研究所では情報科学、社会科学を対象に研究しており、これまでの自らの研究で扱ってきた物性物理とは対象は異なります。しかしながら、機械学習についての行列計算、並列化等の計算技術の部分で共通点を見つけられたこと、さらに異分野の研究者との交流を通じて考え方の違いや自らの長所等を知り、企業の研究機関の雰囲気や自らの研究を社会に適用する感覚が身に付けられればと考え、応募しました。

 

インターンシップの内容と経過


インターンシップの初日は研究対象や機械学習について簡単な話を聞きました。その上で、疎なデータを扱う手法の一つであるFactorization machineの並列化、高速化にインターンシップで取り組むこととなりました。最初に、既存のFactorization machineのライブラリの確認をし、逐次計算版の実装を行いました。その際、最適化の手法としては確率的勾配降下法を用いました。次にプログラムを高速化するため、分散並列化の実装をするとともに、計算量を学習の精度につなげる方法を模索しました。最後に研究の成果について、受け入れ先のグループ内で成果報告をしました。

インターンシップを通じて得られた成果


Factorization machineの並列化、高速化における課題点を発見し、その課題の解決に向け、受け入れ先のグループで様々な解決案について意見交換することができました。また、並列化、高速化の設計や実装、コーディングの技術について多くのことを学ぶことができました。その一方で、異なるバックグラウンドを持つ研究者と多くの議論をかわし、多様な考え方を感じることができ、多くの新鮮な刺激を得ることができました。また、企業の研究機関での研究のあり方の一端を垣間見ることができました。何より、一ヶ月半のインターンシップ生活が楽しく過ごせた点が大きく、今後のキャリアを考えるにあたってのよい経験となりました。